9月5日の学級日誌

五年の長いブランクの後、ボランティアに復帰して3年余り、歳の所為もあり、ベテランだからと言われると、逃げ出したくなります。「これでいいのだろうか、学習者の思いに応えているのだろうか、他の方々はどのように対応していらっしゃるのだろうか」と日本語の知識の無さから来る自問の日々です。何時になったら自問自答になるのやら。学習者の熱心さに触発され、普段何気なく使っている言葉への質問に、頭の中をかき回し、言葉を探し紡ぎ出す。この教室に出会わなければ、こんな作業の楽しさや日本語や表意文字の奥深さに気付かないで人生を終わっていたのではと思うことがよくあります。様々な機会を与えてくれる学習者に感謝しています。

 先日、或る講演会の、タクマラカン沙漠の件で「中国では水が少ないという事で沙漠を使います。」と仰いました。

 数年前、「沙漠」という文字に出会い、それまで砂漠しか使ったことのない私は、気になってはいたのですが、家の辞書では区別をつけることは出来ませんでした。なるほど、なるほど、石が少なくて砂だから砂漠、水(雨)が少ないから沙漠と我が意を得たり、と、もやもやが晴れていたのですが、学習者(瀋陽市出身)に話すにはどこかで活字で確かめてからと探していると、沙漠の事典の中に、沙漠も砂漠{「沙」は「砂」の本字でいずれも水で砕かれた細かい石粒(スナ)の意}も狭義には砂の沙漠を指し、時に耳にする“水が少ないからサバク”という字義は沙漠にはない。とつれなく記述していました。

 しかし、中国出身の学習者には話題の提供にはなるかなと思っています。表意文字の国なればこその会話ができると楽しみにしています。

 普段は、担当している学習者とのみの会話ですが、七夕などのイベントで他の学習者と接する時、はにかんだり、きらきら輝く学習者の瞳を、笑顔を見る時、自分の力不足も忘れ幸せな気分になります。おたおたしながらも、もう少し続けられたらと思っています。

(2班 松井さん)

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