今日のお相手は台湾からの就学生で、始めての顔合わせである。
“それで、貴方は何歳ですか?”この問いかけに、“28歳”と返って来た。
一見22,3歳に見えるが、もう28歳なのだ、と心で思う。
そこから彼のお喋りが展開していく。
”巨人阪神線のチケットは全然取れない“とか、”私もそうだけど君は太りすぎ、40歳過ぎたら糖尿病になるよ“と忠告すれば、肥満から相撲の話に飛び火し、朝青龍や白鵬が登場する。
最近話題の野球賭博にも話が及び、台湾でも野球界で同様のことが起きていると教えてくれた。
聞けば昨年も九州で野球を観戦したとか。
この彼、今年4月来日した割には日本語も上手く、日本の情報がやたら多い。
きっと台湾在住時から日本への関心があったに違いない。
話題の多さにこちらが圧倒されるくらいだ。
私が知った台湾からの留学生には日本贔屓が少なくない。
相手をする側としてもそういう人達と会えばやはり嬉しくなる。
私は3年前からここ市岡日本語教室でボランティアをするようになった。が、真面目なボランティアとはとてもいえない。
言うところの“枯れ木も山の賑わい“ボランティアである。
それでも何とか継続出来ているのは、各ボランティアが非常に熱心に教室をサポートしてくれるからであり、又この組織が大阪的なおおらかさで運営されているからである。
このおおらかさが無ければ、とても外国人を相手にこんなに永く教室を維持できないと思う。
見事だとも思う。
私自身は一昨年市岡教室で会った台湾留学生を10ヶ月ホームステイさせた。
その前段で、日本に来た留学生、就学生及び研修生が必ずしも日本人と親しくなれるわけではなく、そういう機会はそれほど多くないと知ったからである。
彼女が日本人の家で生活し、日本の(頑固で怠惰な中高年ではあるが)生活習慣や日本人の考え方の一部分でも体験しながら、言葉を自然体で習得できればいいと思いついた結果である。
昨年帰国後彼女は貿易会社に就職して、現在見事に日本人顧客に対応している。
ボランティア側から見るとこれは嬉しい限りである。
その後ベトナムの研修生の相手をしたが、半年あまりで教室に来なくなった。
仕事が忙しくなったためか、学習が嫌になったのか分からない。
ただ帰国直前連絡があり、お世話になったからとベトナム料理をご馳走してくれた。
帰国後、暫くしてベトナムの彼から“先生、もう一度日本へ行きたいよ。
日本語をもっと勉強しておけばよかった”と電話が有った。
現在の相手もベトナム研修生である。
私は彼が将来後悔しないように、滞在期間をチャンスと捉え過ごしてほしいと願っているので、うるさく小言を言う。
きっと辟易しているに違いない。
(5班 Kさん)