九・一八歴史博物館を訪れて~序章~

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労働節の休暇(5月1日から3日)を利用して、营口が故郷であるLBの案内で瀋陽を訪れた。
营口に一泊した後、5月2日早朝、私たち2人は瀋陽行きの列車に乗った。約4時間の長旅である。瀋陽では、もう一人学生が駅で待っていてくれた。

今回の旅は、何から何までLBにお任せの頼り切った旅である。なにしろ、中国では、列車の切符の手配はなかなかたいへんそうである。ネットで予約し、当日駅の窓口で並び切符を購入し、外国人の場合は、パスポートの点検もある、とても一人ではまだ乗れそうになり感じだ。

彼は、今回の旅行において、故郷である营口の案内にプラスして1日瀋陽に遊びに行くというプランを立ててくれた。瀋陽は遼寧省の省都である。私も一度は行ってみたいと思っていただけに、一にも二になく彼のプランの乗った。そして、唯一の希望として、かつて、日本軍の謀略により柳条湖が爆破された、その後に立つ九・一八歴史博物館へ行くことを希望していた。

さて、9時に瀋陽に到着、たいへんな人である。その上に暑い。なんで、大連より北側にあるのにこんなに暑いのだと聞くと、内陸であるので気候が違うとのこと。フムフム、大陸性気候というやつか。

さて、3人で腹ごしらえをした後、彼が案内してくれたのは、瀋陽故宮博物館。北京故宮博物館と並んで世界遺産にも指定されている。広い、見どころ満載である。しかし、私が行きたいのは九・一八歴史博物館だ。地図で見ると、駅からかなり離れている。瀋陽をそれなりに見物しようと思うなら最低でも3日は必要であろう。私たちは日帰りだ。時間がないのだ。

確かに、清朝時代の遺物の数々は一見に値する。滅多に見られない財宝といってよい。1時間、2時間と時間はいくらあっても足りないくらいだ。それに暑い。人と気温のせいですっかり疲れてしまった。彼は熱心に案内してくれる。中国の人にしてみれば、歴史の遺産だ。しかし、私が行きたいのは九・一八だ。だんだん私も不機嫌になる、「権力を持つ者が集めたものです」とも言う。彼にその皮肉が通じたかどうかはわからない。

何度か、確かめる。九・一八に行く時間は大丈夫かと。その度に彼は自信をもって大丈夫です、と繰り返す。私は九・一八をゆっくり時間をかけてみたいと暗にそろそろ移動しようとせかすが、彼は、「先生、ここは皇帝が愛した妃の部屋です」と見学を促す。誰が誰を愛そうが、その妃の部屋がどのようなものであろうが私は興味がない、と言いたかったが、そう言うわけにもいかず、ほほうと言ってついていく。

次に彼は正室が住んだ建物を案内しようとする。もういい。時間がない、私は、彼の勧めを断って、九・一八行きを迫る。それでも大丈夫ですという彼に、とにかく私は九・一八に行くと宣言した。

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