昨年9月、大連海洋大に初めてやって来た時、話には聞いたいたが寮の部屋から海が見えることに感動した。
ところが、なんとその海に見渡す限り海岸線と平行して巨大な橋が造られているではないか。
毎日毎晩工事の音が聞こえてきた。津波でも来たらどうするんだと、3・11の記憶を持つ日本人である私は真っ先にそう思った。
いや地震はないと自信をもって応える学生の言葉もにわかには信じがたかった。
何でも、渋滞を解消するためにバイパス道路を海に建築中と聞いた。そんな無茶な~と思いながらも、日本も同じようなことをやって来たしやり続けているのだろと思うと中国ばかりを責めるのもお門違いかもしれないと思った。
黄海に間近に面した海洋大の眼前に広がる海の景色に橋がなかったら、と思うのは旅人ゆえの気安さか、と思っていたら、多くの学生が同じ感慨を懐いている事に何だかほっとした。
その橋が今月末にはいよいよ開通するらしい。
昨夜はおそらくライトアップの試運転らしきものをしていた。
寮の部屋から撮った写真に「何の写真か分かりますか?黄海に浮かぶバイパス道路!大連の新たな名所になるんだろうな!?」とコメントを添えて微信に送ったら、「先生,華やかですが,海の静かさをはかいします。」と返信してくれた学生がいた。
人間は愚かな生き物かもしれない。経済繁栄は、日本人の多く中国人の多くが望むところだろう。
しかし、それが何をもたらしたか十二分に見て来た日本人のひとりとしてはやり案ずる、この国にそれを繰り返してほしくはないのだ。
おそらくそう思っている中国人も少なくはないだろう。何が駆り立てるのだろうか。
そう思いながらも、学生が投稿していたライトアップされた橋の見事な写真に魅せられながら、この国も行き着くとこまで行くしかないのかもしれないと思えてくる。