見学者から見た日本語教室 3月11日(金)の 学級日誌

見学者から見た日本語教室 3月11日 学級日誌

3月11日の市岡日本語教室はいつもの授業の傍ら、新規ボランティアの方々への説明会がありました。
2015年の12月から見学している身としては「いつもの風景」と離れることに寂しさを感じつつも、「市岡日本語教室のボランティアとしてどうあるべきか」ということを改めて認識する良い機会となりました。
ボランティア側がいくら外国語が堪能でも、市岡日本語教室では学習者の方々に日本語を話してもらわないと意味がありません。どうやって学習者とコミュニケーションを図るのか、ということが重要です。
この数か月、見学者として市岡日本語教室のクラスに出入りしていますが、大阪という土地柄なのか、この団体の性格なのか、来る人来る人ウェルカム!で、のびのびと日本人、外国人が交流できている感じがあります。かつてここで学習していた方が母国に帰った後、仕事等で日本に来たから市岡に顔を出しに来た、ということもあるようです。
「学習の様子を見学してもらいましょう。」という声を待ってました!とばかりに背に受けてウキウキしながら1班の教室にまっすぐ向かう私。
というのも、初めて市岡日本語教室に参加した時にご一緒させていただき、それから一緒に学習しているユニット「かしまし娘」に参加するためです。
折しも今日は3月11日。東日本大震災から5年が過ぎた日です。
初めて参加させていただいた日、何気なく「福島県出身です」と話したら「震災、大丈夫だった?」と予想外の質問をされ、びっくり。震災当時は勤務先の千葉県で被災し、その後東北に転勤していたとはいえ、今でも東北を気にかける方がいたことに驚きました。(思わず、先月福島へ帰省した際、地元のみならず宮城県在住の友人知人に言いまくりました)
生まれ育った実家を津波で流され、地震・原発事故の影響で地域環境が変化し、自然の驚異に対して人間の無力さを感じ(始めのうちはマスコミもありつつも)被災後の環境が「当たり前の日常」だった状態で「まだ、ここに被災地に心を砕いている方たちがいる」という事が私のなかで水面に石を一つ投げられるような感じがして、その波紋はまだ消えずに残っています。
教室の帰り道、いつまでもおしゃべりが止まらない私達のことを「女3人かしまし娘ね!」と言って笑ったことが印象に残り、その後教室に参加するたびに集まると「かしまし娘!」と言っていました。
そんな「かしまし娘」に会わずに今日は終われない!ということで喜び勇んで教室に行ったら日誌について班長さんも含めて悩んでいる様子・・・。
とはいえまずは震災から5年たったことに話が始まり、この時間までどこにいたんだ、急に消えたからびっくりした、と学習者さんに突っ込まれ、かくかくしかじか、と日本語の4字熟語で応戦したらそこから日本語の学習が始まり、終わったところで学級日誌の話題に戻り、紆余曲折を経て今回、私に白羽の矢が立ち、今ここで日誌を書く・・・ということに至ります。

教室には関係ありませんが、これを読んでいる皆様にお伝えしたいことがあります。
この場を借りて、2011年の大震災の際に多大なるご支援、ご協力をいただいた皆様に御礼を申し上げます。
皆様にぜひ、元気になった東北に足を運んでいただきたい!
東北、特に被災3県ではそれくらいの気概を持っているということを皆様にお伝えしたく、御礼と共に書かせて頂きました。

私の福島県の実家は幼稚園を経営しているのですが、日本全国の皆々様から様々な支援をいただきました。
台湾をはじめ諸外国の皆様からも支援をいただきました。こんな田舎の小さな幼稚園にどうして・・・と思えるほどでした。本当にどうもありがとうございました。

私事ですが、私の弟の奥さんはメキシコ人で、弟夫婦は2011年3月末にメキシコで結婚式を挙げる予定でした。準備の為にひと足先にメキシコに行った奥さんは直接震災の被害に合わずにすみましたが、幼稚園を経営する実家を弟はほっておけず、挙式を延期する決断をし、4月に奥さんが日本に戻ってきました。原発事故の影響で節電中の東京への到着です。空港から夜行バスに乗るため、東京に向かう電車の中で彼女は言いました。「私、こんな暗い東京の街を見るのは初めて。」彼女にとって震災後初めての日本。実際に目の当たりにしてびっくりしていました。
弟が、海外では日本では流せないような震災のひどい映像も流れているのに、なぜ日本に戻る決めたの?と聞いたら彼女は「ここが私の家だから。」と言ったそうです。

日本に暮らす外国人は年々増え続けています。私はそんな人たちに少しでも日本の暮らしが楽しいものでありますように、人生のなかで日本という国が特別な国であってほしいと思い、日本語を通して国際貢献できたらと市岡日本語教室に参加し始めました。

市岡日本語教室では様々な国から来日した学習者さんとボランティアさんとで日本語の勉強に励んでいます。
ユニット「かしまし娘」の学習者さんのように日本人顔負けの日本語力を身に着けた方もいれば、その横ではにかみながら勉強したての日本語を一生懸命話す学習者さんもいらっしゃいます。

4月から新規ボランティアとして参加する予定ですが、アットホームな市岡日本語教室に初心を忘れずに参加し続けたいと思いました。

皆様、どうぞよろしくお願い致します。

(1班見学者 高橋 玲さん)

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