年の始めに~中国で暮らして

8月27日、日本を出立し大連へ、4か月間をその地で過ごした。旅人の延長ながら、その地で生活者として過ごすなかでいろいろなことを考えさせられた。学生たちを通しては、日本と中国の違い以上に、同時代を生きる若者の共通点を見出すことが多かった。また、大連の街で出会った人たちは、私が日本でいつの間にか作り上げていた「中国人」とのイメージとおよそ異なっていた。私自身は日本の高度経済成長のもとに育ち、そしてその矛盾や問題点が明らかになる時代を経て来ただけに、経済成長とやらを手放しに賞賛する気にはなれないが、改めて経済の力なるものを感じたことは事実だ。その一方で、日本も中国もグローバリゼーション経済における格差が広がる現実をも垣間見た。

様々な問題点において日本と中国の共通点を考えながら、その相違点もむろん関心事である。それは、二つの国を対比して考えるというよりは、私に日本について考えさせることが多かった。あたりまえのことながら私は日本人なのだから。

それと、もうひとつ、日本に生まれ日本で暮らすとありがちのことなのだが、その空気は絶対的なものとなる。お正月、かつてのような伝統的な雰囲気は失われつつあるが、それでも日本列島を正月前後の独特の空気が覆う。ところが中国では、1月1日元旦は祝休日の一つではあるが、彼らが新年の祝うのは旧正月春節である。異国で暮らし、日常的に異文化に接し、それが私に日本を相対的に観ることを可能にさせる。日本について良くも悪くも客観視できる場ができたようなものだ。

私は、間違いなく愛国者である。しかし隣国中国をもまた愛している。それが中国でF4か月間暮らした私の実感である。試験を終え冬休みとなり学生たちはそれぞれの故郷に帰っていく。きっとそれぞれの春節のもようを微震で知らせてくれるだろう。今から楽しみである。

それでは、最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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