きょうの学習者は、中級レベルのタイの人

 私は、目の前の生活のためと、老後のことを考えて、半ば日本語教師を目指すようになりました。
今までに実技指導の経験はなかったのですが、予備知識が多かったためか、初めての学習でも臆せず望むことができました。
私が受け持った学習者は、中級、初級から仮名レベルといろいろだったのですが、最近はベトナムの初級~中級学習者さんらと多く勉強するようになっていました。

  そして、きょうの学習者は、タイの人です。
本教室の登録も初めてでしたが、母国で3年ほど勉強してから来阪しているので、日本語での意志疎通が可能でした。
現在中級レベルで、2級合格を目指すという感じです。
愛想笑い・照れ笑いが可愛らしい人で、これは東・東南アジア諸国の文化ということを肌で感じました。
欧米では愛想笑いをしないので、日本人のように笑みを作ろうと練習していたら顔の筋肉が引きつった、というようなエピソードもあるくらいです。
中東では欧米以上にアイコンタクトが強いようで、そんなことも意識しながら自分の表情作りに努めています。

  さて、きょうの学習内容は、日常会話が中心で、ニュースや新聞が完全には理解できないというので、私としては珍しく教材を使わず、磁気ボードのみで語彙や文法の説明をしました。
後半は、大阪弁を教わりたいという話になり、動詞の打ち消し「へん」や、形容詞のウ音便活用、程度副詞の文型と簡単なタスクを、ネイティブ大阪人さんの発話のもと、指導させていただきました。
さすがに興味深いのか、帳面を取り出し、こちらがボードに書いたのを熱心に書き写しています。
私は、8年ほど前から日本の方言を調べるようになり、大阪弁の文法的なこともだいぶ研究したのですが、しゃべりは完全な大阪弁ではありません。
逆に、ネイティブの大阪の人は、大阪弁は話せるが、大阪弁を教えること(文法が理解できている)ができず、これは日本語教育においても同じだなあと思いました。

  そして、あっという間に終了時刻です。
マイクを持った人が前で話していると耳を傾けています。
中級以上の学習者に見られる行動で、初級の学習者はそれが見られません。
こちらも勉強になります。テーブルや椅子を片づけて、解散しました。

  …と、普通はここで終わるのですが、帰路の途中で食料調達のために立ち寄ったスーパーマーケットで、ばったりその学習者さんと出会ったのです。
同期の友達さんを紹介され、「先生。○○です。初めまして。」と丁寧な挨拶を受け、日本語の教材の第1課はこういう場で使われるんだなあ、といちいち感動しながら私は買い物を続けていました。
その場から離れる際も、「先生、失礼します」と、立派な社会人としての日本語が聞かれました。
私だったらどのように言うだろうか…。
単に「ほな」か…。さすがに「ほな」はないだろう…。
いや、でも「ほな」か…?などと考えながら家路に着き、充実した1日を終えたのでした。

(1班 Nさん)

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