市民学習センターの講義

 それは、35℃を超える熱波も過ぎた、ある夏の夜のことだった。
私は、見慣れたオークの7階にある市民学習センターに足を運び、前回同様100円を支払い、席に着いた。
たった100円で1コマ分の講義を受けられると得した気分で望んだのだが…、単なるマンの悪さか、それとも快適な室温のおかげか、講義が始まるや否や睡魔に襲われ、後半には持病の腹痛まで起こるようになっていた…。

  講義の内容は、日本語学校で指導するような文型積み上げ型が中心で、短時間の間に、小難しい専門用語やらカタカナ語やらが、私の処理速度の遅い頭の中では理解も整理もする間もなく、マシンガンのように先生の口から繰り出されていた。 果たして、1対多の教え方が、1対1を基本とする市岡の教室に当てはまるのだろうか…、などと思いながらも、迫り来る睡魔と腹痛に耐えていたのだった。
  日本語教師でも目指している人にはありがたい講義かもしれないが、日本語教育の基礎にも触れたことのないボランティアの人には、非常に難しかった講義かもしれない。
  私が入会当初、市岡は在阪外国人の話し相手になってあげることが主で、日本語学校のように文型の通り教えていくものではないため、1対1になっているのだと聞いた。これは私の勘違いなのか、聞き違いなのか…。ひょっとしたら、自分はボランティアには向いていないのではないか…、と思うようになっていた。
  実際、中級レベルの学習者と1対1での日常会話では、なぜかうまく話すことができず、入門~初級レベルの学習者と1対2~3での文型指導では、自然に体が動いてしまうのだ。
  今回の講義が市岡に活かされるのであれば、ボランティアの教え方も変わり、学習者の上達はミッション車の3rd.のごとく加速するだろう。次回、教室で確かめてみたいと思う。
(1班 Nさん)

  市岡は1対1のシステムをとっているおかげで、学習者個々の様々なニーズに応えることが可能だと思います。昼間日本語学校に通学している就学生には、日常会話の練習が喜ばれることが多いかもしれません。また、日本人の話し相手や友人が少なくて、それを求めて来られている学習者もあります。その一方で、日本語能力検定合格を目指している方もいます。また、企業研修生や主婦等で日本語学校に行っていない人も大勢います。全くの初学者という方もいます。様々な学習者のそれぞれの要望に応えられるのが市岡のシステムのいい所だと思います。
  ボランティアにもいろいろな種類の方がいます。専門的な日本語教育の技術を習得されている方、語学教育の経験のある方、日本語教師を目指している方。あるいは、日本語教育や外国語教育に全く無縁だった方、自身も本格的な外国語教育を受けたことのない方。いろいろな方が、それぞれの経験や資質を活かして、外国人に接していけます。そういう中で、一番大切なものは誠意と愛情かなと、私は思います。技術がなくとも、誠意と愛情があれば、学習者に何かを伝えることが可能だからです。かといって、文法的な質問をされても、全く答えられない、語彙力が足りない、という状況がいつまでも続くのであれば、それはそれで問題ではないでしょうか。自身が、いつまでも日本語指導の初心者のままでいいというわけではないと思います。
  研修係の人たちは、今回を含め、いろいろな角度からの研修を用意してくださっています。ボランティアの方々も研鑽を積んでより高度な指導者を目指していただきたいと思います。私なんかも、学習者とはほとんど世間話に終始していますが、それでも、日本語についての素養があるのとないのとでは大きく違うなと感じ、時には学習者の質問に対して赤面の思いで接しています。自分も含め、もっともっと日本語能力を高めていかないといけないと感じています。(でも、教室では雑談しかしないだろうな。)
(広報担当)

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